1-1.結合長、結合角、二面角
立体配座を議論するときに重要になるキーワードです。

結合長(bond length)

化学結合を形成している原子間の距離です。炭素−炭素結合ではエタン(sp3)で1.52Å、エチレン(sp2)は1.32Å、アセチレンは1.19Åです。単結合、二重結合、三重結合の順で結合長は短くなります。なお、ベンゼンの炭素-炭素結合は全て同じで、1.39Åです。ベンゼン環では二重結合が共鳴しているため、単結合と二重結合の中間の結合長になっている訳です。炭素-水素結合は、1.07Å前後ですが、エタン、エチレン、アセチレンの順でわずかに短くなっています。
メタン(sp3) エタン(sp3) エチレン (sp2) アセチレン (sp) ベンゼン
∠H-C-H 109.47° 107.68° 116.39° - 120°
∠H-C-C - 112.21° 121.81° 180° 120°



結合角(bond angle)

結合角は有る原子からの2本の化学結合の角度です。理想的にはsp3炭素で109.47°sp2炭素は120°、sp炭素の場合180°どなります。メタン分子の場合、結合学は理想的な109.47°となりますが、エタンでは隣の炭素(メチル)基の立体反発を避けるため∠H-C-Hは若干小さく(107.68°)、∠H-C-Cは逆に大きく(112.21°)なります。同様な効果がエタンでも見られます。理想的なsp2の結合角を持つものはベンゼンです。sp炭素は直線分子で、直鎖構造にある限りsp炭素は180°です。



二面角(dihedral angle)

結合をもつ4つの連続する原子が作る二つの面の角度をいいます。下の図で、二面角X1-C-C-Z2を例に説明します。原子X1と結合した炭素、その隣の炭素がある面と、二つの炭素原子と原子Z2が形成する面との角度となります。二面角はNewman法で投影法すると理解しやすいです。中央の炭素二つを重ね合わせたNewman投影法で表した場合、∠X1-C(C)-Z2がその二面角となります。