Lambertella sp. 1346の生産する新規
ナフトキノンlambertellols A Bの単離と構造決定



 チャイロミ病菌Lambertella sp. 1346はモニリア病菌に罹病したリンゴ実の中で増殖する。 Lambertella sp. 1346はモニリア病菌であるMonilinia fructigenaに菌寄生(マイコパラサイト)を起こしている。われわれは、このマイコパラサイト現象を化学的に解明する研究の一環として Lambertella sp. 1346の生産する抗菌性物質を探索した。実験の結果、新規抗生物質lambertellol AおよびBを単離した。構造決定は主に核磁気共鳴スペクトルにより決定した。



相対立体化学はオーバーハウザー効果を測定することにより決定した。天然物は不安定であったが酸化白金触媒をもちいて水素雰囲気下還元すると安定な誘導体に導けることが判明した。


半経験的分子起動計算を用いた立体配座解析を行い、フェノール部分の円二色性スペクトルへの影響が無いことを確認し、このものはジベンゾアート則が適用可能であると判断した。このものの円二色性スペクトルを測定したところ、235ナノメータ付近で典型的な正のコットン効果を示した。以上の結果からlambertellolの絶対配置を決定した。






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