2級アミンの配座解析
非対称な2級アミンでは、結合している原子団がR1、R2、水素、非共有電子対となり、厳密に言うと不斉である。
有機化学の教科書では、傘が反転するように非共有電子対が入れ替わるので、互いのエナンチオマーが平衡であり、光学異性にはならないとされている。
そこで、気になったのはSpartanでの配座解析。(R)-N-methylphenethylamineについて配座解析を行ってみた。まず、窒素原子についてS配座のものを配座解析を行ったが、窒素の部分はS異性体のみが安定配座として示された。
次に、窒素原子についてR配置のものを計算したが、こちらは窒素原子についてR配置のもののみが示された。
プログラムの性質を考えれば、当たり前である。コンピュータ上ではジアステレオマーで別な物質である。しかし、下の図で示したように、窒素の不斉の違いで最安定配座の差が0.8Kcal/molとなることから無視できないどころかきわめて重要な問題となる。気をつけなければいけないと、自分に言い聞かせたイタズラであった。
なお、環状化合物を配座解析を行っていると計算結果の絶対配置が異なる配座を求めてしまう場合がある、このとき"Chirality different"として計算結果を排除している。すなわち、計算結果の立体化学をチェックしているということになる。
しかしおそらく、窒素の不斉はチェックしていないであろう。したがって、窒素原子周りの不斉はRであったり、Sであったりの混合物のリストが得られると思われる。だからといって、環状化合物の場合、窒素原子について一方の異性体のみを配座解析をすればよいのかといえば、決してそうではない。(と思う。)