MMFFは精度が高い??
SpartanにはSYBYLのほか力場計算としてはメルクの力場MMFFしか使えない。でも、MMFFの再現性は高いように感じている。
我々はチオ糖の合成研究を行っているが、チオピラノースで構成されたオリゴ糖の構造を分子モデリング計算することになった。ただ、ヘミチオアセタールといった官能基がパラメータで保障されたものかどうかはわからなかった。
以前(大昔、大沢先生のMM2)の分子力場計算ではパラメータが無いとエラーが起きて計算がとまってしまった。従って純正のMM2では計算のできる分子は限られたものになってしまう。これはこれでよかったのかもしれない。
Chem3Dではほとんどの分子の計算が可能だが、MM2のパラメータが無いときパラメータを自動発生させるらしい。たいていの分子の計算が可能である。パラメータが無い時、似たもののパラメータを流用していると思われる。
もしチオ糖の二面角の計算をするとき、ヘミチオアセタールのパラメータをヘミアセタールのパラメータで置き換えてしまったらどうであろう? 通常糖の配座を計算することになる。何のためのチオ糖計算なのか本末転倒である。
こんな背景からどの計算方法がチオ糖計算に有用かを検討した。
当時合成を始めたところで、まだブツはもっていない。真の配座も判らない。Hatree-Fock 6-31G*の計算が真の配座を反映していると仮定した。基底関数に6-31G*を選んだのは硫黄原子の分極したd軌道を考慮するためである。
下にその結果を示したが、MMFFは半経験的分子軌道法(AM1、PM3)より6-31G*の結果に近いダイアグラムを与えた。MMFFは優秀である。